科学雑誌「Newton」の2015年2月号に『水素社会の到来 今なぜ主要メーカーはFCVに邁進するのか?』という記事が載っていました。
水素関連銘柄は、大体動き出して上昇しているものもありますが、あらためて読んだ記事を元に水素自動車関連銘柄についての雑感を述べたいと思います。

まず、水素を圧縮して積みこむタンクですが、タンクは3層構造となっていて一番内側がナイロン系の層。中間が炭素繊維強化プラスチック、一番外側がガラス繊維強化プラスチックとなっているそうです。
この内、一番内側のナイロン層に関しては、宇部興産(4208)が「水素タンクライナー用ナイロン材料をトヨタと共同開発し、この材料を使った高圧水素タンクは、燃料電池自動車「MIRAI」に搭載」と発表しています。

次の中間層にあたる、炭素繊維強化プラスチックについてですが、これに関して調べると以下の銘柄があります。

  • 東レ(3402) 「MIRAI(ミライ)」の車体と水素タンク向けに炭素繊維を供給
  • タカギセイコー (4242) NEDOのプロジェクトにおいて、東京大学、東レ、三菱レイヨン、東洋紡と共に、加熱すると成形しやすくなる熱可塑性樹脂を用いた、まったく新しい「炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス(CFRTP)」の開発に成功。http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100221.html
  • オリエンタルチエン工業 (6380) 炭素繊維強化プラスチックに関する話題で以前ストップ高になったことがある。
  • 八千代工業(7298) 四季報に「樹脂製品に活路見いだし燃料電池車向け車載用タンクの開発に注力」
  • エイチアンドエフ(6163) 福井県工業技術センターと共同で、熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のプレス成形機を開発

最後にガラス繊維強化プラスチックですが、島精機製作所しか自分が探した範囲では、見つかりませんでした。他には、

  • 燃料電池用の電解質膜を手がけるニッポン高度紙工業(3891)
  • 中期計画で 水素製造装置、水素ステーション向け製品の開発及び、燃料電池車搭載の水素ボンベ用容器バルブの製品化を行うと表明した宮入バルブ製作所(6495)
  • 液化水素に強みのある岩谷産業(8088)
  • 水素を常温・常圧で液体化する技術を持つ千代田化工建設(6366)
  • 水素燃料流量調整バルブなど燃料電池車向けに注力とされるハマイ(6497)

などがあります。

ここまでは燃料電池自動車本体についてでしたが、Newtonでは水素ステーションのほうが難題であると書かれていました。
「課題」ではなく「難題」です。
これは結構重い言葉で、相当な努力が必要ということが伺えます。
よって、こちらのほうが水素関連銘柄としては有望視出来るのではと思います。
困難であるが故にちょっとしたニュースで期待が高まりやすい、思惑で上がりやすいといえるからです。

まず水素ステーションの課題はそのコストにあります。ガソリンスタンドの建設コストが1億円掛からないのに対して、水素ステーションの建設コストはその4倍以上、4~5億とされています。
普通の自動車はガソリンスタンドで給油が出来、電気自動車は家庭用コンセントでも充電できます。
しかし、水素自動車の場合、タンク内の圧力が走行中に低下していくため、予め水素の圧力を高め圧力差を利用してタンクに水素を充填しなくてはいけません。
そのため水素の圧力を高めて水素を送り込む圧縮機がどうしても必要になるわけです。
また、水素タンクに充填する際には水素を押し込みやすくするために水素の温度をマイナス数十℃まで下げる必要があり、そのための設備も必要となります。これがコストの掛かる要因です。
よって水素自動車が普及するためには水素ステーションがある程度確保され、また設置コストも下がらないと、夢物語に終わってしまう可能性もあるわけです。
岩谷産業も当面は赤字覚悟で燃料となる水素の販売をするそうで、水素ステーションの設置もまた同じような経緯になると考えられます。

主な水素ステーション関連銘柄

  • 加地テック(6391) 水素ステーション建設本格化にらみ、水素ガス圧縮機受注拡大に照準
  • 神戸製鋼所 (5406) 水素ステーション用高圧水素圧縮機の開発
  • ジェイテクト(6473) 高圧水素供給バルブと減圧弁
  • キッツ(6498) バルブメーカー。水素ステーション用バルブ開発。
  • サンオータス(7623) 四季報に「JXと連携し水素ステーション開設を検討開始」
  • 日東工器(6151) 水素ステーションディスペンサー(水素の供給装置)のノズル部分を製造
  • 三菱化工機(6331) 水素ステーション用の小型・高性能水素製造装置を開発
  • NFKホールディングス(6494) 三菱化工機の小型水素製造装置におけるバーナ部分の製造

さてこれらの銘柄が今後上昇していくかどうかですが、どれも手垢がついた銘柄が多く新鮮さはありません。
どこでも載っている情報では、なかなか株は動かないものです。
それが例え本当に必要なモノを作っている会社だとしても。。。

一番いいのは「話を膨らませやすく」「尾ひれがつきやすい」「夢想的で雄大な」悪く言えば「詐欺的な銘柄」の方が過熱し仕手化して上がりやすいわけです。
時価総額が低ければ尚更、そして浮動株が少なければ「プラチナチケット」と買い煽れますから、取り合いのオークション状態になってとんでもない値段になったりするわけです。

ここに記した銘柄以外でも水素自動車関連と見なされた銘柄は大化けする可能性があるので、水素絡みで上昇し始めた銘柄は注意深く見る必要があります。
本当は水素発電に関しても書きたいことはあるのですが(その方面でニュースが出た銘柄はかなり上がると思う)、いずれにしても、水素自動車関連は、何度も波が来るはずなので上手く乗っかって利益を出したいものです。